I was born.
どんな人間でも受身で生まれてきます。
これはどうしようもない事実です。
人種も時代も家柄も自分では選べません。
しかし、その選べない要因によって、その人の人生は決まる、と言っていいでしょう。
たとえば、この映画の主人公みたいにイギリスの下層階級に生まれ、教育もマナーも宗教的寛容さも身につけていなければ、どういう人生を送ることになるのか、一方ケンブリッジやオックスフォードで学び、あまり経済的なことに頭を悩ませなくていい人生はどういう人生なのか、形成される人格も含めてその行く末は予測がつきそうです。
近代以降の社会システムはすべて“自立した個人”を前提として確立されていると言っていいでしょう。しかし、“本人の選択”とは言い難い、人種・家柄などの生活環境を本人が引き受けざるを得ないからと言って、その人生の責はすべてその人自身に帰すべきものなのでしょうか。
この映画を観終わったいま、またそのことについて考えさせられています。