妻の母が末期の肝臓がんです。
しかし、本人には告知していません。
「告知すべきでは?」
そう言っても妻は頑として聞き入れません。
「知らせたらきっと耐えられないと思うから」
昔、「冷たい夏、熱い夏」という小説を読みました。
肺がんに冒された弟に告知せず、最後まで嘘を突き通す話でした。
とにかく肺がんの末期の凄惨さを容赦なく描いていて、「肺がんでだけは死にたくないと」と強く思ったことを覚えています。
この小説の作者が吉村昭でした。
その吉村昭のがんとの戦いの日々をつづった小説です。
出張で宮崎へ向かうバスの中で読んだのですが、これを小説として書くのはやはり小説家の業なのかと何か震えるものがありました。