成島出監督『草原の椅子』
映画『草原の椅子』予告編50歳から生き方を変える-、親友を作る、新しい恋をする、虐待された子どもを引き取って育てる、写真で観た砂漠に感銘を受け、フンザに行き、100歳を超えた占い師にこれからの人生を占ってもらう-、そうだ、50歳で落ち着いていてはいけない、そう考えさせられた作品でした。
View Article山下敦弘監督『苦役列車』
映画『苦役列車』予告編ちょうど昨年の今頃だったと思いますが、息子からこんな話をされました。「人間はどんなに主体的に生きていると思っていても、結局は受身でしか生きられない、と学校の先生が言っていたけど、どうなんだろう」...
View Articleフーコーについて
フーコーの入門書を2冊読みました。読み終えた今、フーコーをもっと知りたいと思っています。これからフーコーの講義録「フーコー・コレクション6」を読む予定ですが、一方で構造主義やポスト構造主義の思想家にも興味を持ちました。フーコーが一段落ついたら、レヴィ=ストロースやドゥルーズ=ガタリなども読んでみたいと思っています。「人々が真理だと信じているものは、実は歴史的な根拠から作り上げられたものにすぎず、普遍...
View Article桜井哲夫「フーコー 知と権力」
講談社の『現代思想の冒険者たち』シリーズからフーコーを読みました。以前同シリーズで読んだ「ウィトゲンシュタイン言語の限界」も面白かったんですが、このフーコーもとてもわかりやすく、面白く読めました。...
View Article北川悦吏子監督『新しい靴を買わなくちゃ』
映画『新しい靴を買わなくちゃ』予告編男女ともに言えることだと思うのですが、若いときに輝いている人と、年を重ねて輝いている人と二通りいらっしゃると思います。この映画の中山美穂は、明らかに後者ではないかと思います。最近「わりなき恋」という自伝的小説で話題の岸恵子さんもそうですが、若い頃から外国に行って生活をしている方は、いくつになっても老けることがなく、女としての魅力を保っていらっしゃいます。パリに生活...
View Article川上弘美『なめらかで 熱くて 甘苦しくて』
考えさせられる本ばかり読んでいた反動からか、身体を刺激するような、妙に理性的になってしまった頭を吹き飛ばしてくれるような本を探していたら、期待に応えてくれそうな匂いがする本に出会いました。 川上弘美は、自分の中でちょっとマンネリになっていたのでしばらく離れていたのですが、久しぶりの川上弘美はもう突き抜けていて過激でたおやかでエロでした。...
View Articleジル・ドゥルーズ『記号と事件 1972-1990の対話』
「人々が真理だと信じているものは、実は歴史的な根拠から作り上げられたものにすぎず、普遍的なものでも、絶対的に正しいものでもない―――」フーコーのこの言葉は、構造主義、あるいはポスト構造主義の思考を端的に表現しているとともに、デカルトのコギトに始まり、サルトルの実存主義で終焉したように見える“人間中心主義的な知の体系”に対する異議申し立てであると思われます。「“主体”の“主体性”は、その“主体”を生み...
View Articleエドマンド・バーク『フランス革命の省察』
仕事帰り、自宅までの約1時間を歩くようにしているのですが、そのときipod-touchに入れた学者の対談や鼎談をよく聴いています。特に「TPP亡国論」などで有名な中野剛志、「静かなる大恐慌」の滋賀大学・柴山桂太、それに2005年「中村屋のボース」で華々しくデビューした北海道大学・中島岳志など、いわゆる”若手・保守系学者”のものをよく聴いています。...
View Article新海誠監督『言の葉の庭』
『言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer 以前、朝の情報番組で予告編を見たときから気になっていました。私の街には来る気配がないので、昨日福岡へ観に行ってきました。 素晴らしい作品です。 アニメーション的にはいままで見た中で最高だと思います。 これはぜひ映画館で観ましょう。
View Article村治佳織『ニュー・シネマ・パラダイス』
村治佳織 - 「ニュー・シネマ・パラダイス」からジュゼッペ・トルナトーレ監督「ニュー・シネマ・パラダイス」のテーマ曲です。村治佳織のギターが素晴らしいのでアップします。 この曲は、若いときに周囲の反対で無理やり別れさせられた二人が、30年ぶりに会うシーンで流れます。 「ぼくは仕事で成功したが、いつも何かが決定的に欠けていた。それが君だった」「二人に将来はないわ。二人の間には過去しかないのよ」...
View ArticleJ.S.ミル『ミル自伝』
基本的に気に入った本は買うようにしているのですが、エドマンド・バークの「フランス革命の省察」は本屋に売ってなかったのでやむを得ず図書館で借りました。その本を返しに行くと、今度はこの「ミル自伝」が目に付き、手にとって少し読んでみると、これが面白そうだったのでまた借りることにしました。...
View Article津村節子『紅梅』
妻の母が末期の肝臓がんです。しかし、本人には告知していません。「告知すべきでは?」そう言っても妻は頑として聞き入れません。「知らせたらきっと耐えられないと思うから」...
View Article車谷長吉『妖談』
車谷長吉は、2年前に芥川賞を受賞した西村賢太とともに日本を代表する私小説作家です。私小説といえば、かつては日本文学の中で確固たる地位を占めていたのですが、その作風が現代という時代に合わず、古い日本の伝統芸としての地位に甘んじています。...
View Article仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』
ドイツ出身の政治哲学者、ハンナ・アーレントの思想について書かれたものです。私自身、アーレントの著作は「イェルサレムのアイヒマン」くらいしか読んでいないので、アーレントの思想について語る資格はありませんが、ここのところ私の関心が「“人間の自由(意志)”をどう考えるのか」という点にあり、そのことを自分なりに整理して考えるために参考になる本を探していたときに偶然この本と出遭いました。...
View Article苅谷剛彦『イギリスの大学・ニッポンの大学』
著者の苅谷剛彦氏は、1995年「大衆教育社会の行方」で、親の社会的地位と子供の学力が深い相関関係を示す、いわゆる“格差社会”について、膨大なデータを駆使して日本で初めて指摘した人です。この本は、その著者が、オックスフォード大学へ研究者として赴任した経験を元に、日本の大学とオックスフォードを代表とするイギリスの大学における教育の違いについて書いたものです。日本が明治以来の「知識伝達の効率性を目的にした...
View ArticleJ.S.ミル『大学教育について』
以前、自伝を読んだJ.S.ミルのセント・アンドルーズ大学名誉学長就任講演の内容をまとめた本です。題名のとおり大学教育について語っているのですが、その冒頭、ミルはこう語っています。「大学は職業教育の場ではありません。大学は、生計を得るためのある特定の手段に人々を適応させるのに必要な知識を教えることを目的とはしていないのです。大学の目的は、熟練した法律家、医師、または技術者を養成することではなく、有能で...
View Article宮崎駿監督『風立ちぬ』
過去2回観ようとしましたが、2回とも館内から外の階段まで続く長蛇の列だったため断念していましたが、昨日ようやく観ることができました。これはここ2~3年で一番の映画です。宮崎駿監督の理想的な人生がこの映画の主人公・堀越二郎の生き方であり、この人生を描くためには現代ではなく、あの時代だったんだなぁと納得させられました。 とてもいい映画です。みなさん、ぜひ劇場で観ましょう!
View Article