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Channel: ラジオ・エチオピア
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山下敦弘監督『苦役列車』

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ちょうど昨年の今頃だったと思いますが、息子からこんな話をされました。
「人間はどんなに主体的に生きていると思っていても、結局は受身でしか生きられない、と学校の先生が言っていたけど、どうなんだろう」
 人間は親を選べないし、育つ環境も選べない。しかしその“生”は、自分ではそう思ってなくても、遺伝子と生まれ育った環境に左右される---。
そのときは「そんなことはないだろう」と一応否定はしてみたんですが、それ以来、このことについてよく考えるようになりました。
この映画で、主人公の劣悪な生い立ちから来る不快な言動、振る舞いを見せつけられながら、改めてこの問題について考えさせられました。
原作は一昨年芥川賞を受賞した西村賢太の私小説です。
森山未來が主人公のどうしようもなさをうまく演じていて、小説を読んだときの嫌な感じが蘇ってきました。
 こんなふうに育ってしまった主人公の生をどう受けとめるか、意外と深い問題を孕んでいると思います。

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