Quantcast
Channel: ラジオ・エチオピア
Viewing all articles
Browse latest Browse all 60

ジル・ドゥルーズ『記号と事件 1972-1990の対話』

$
0
0
イメージ 1
「人々が真理だと信じているものは、実は歴史的な根拠から作り上げられたものにすぎず、普遍的なものでも、絶対的に正しいものでもない―――」
フーコーのこの言葉は、構造主義、あるいはポスト構造主義の思考を端的に表現しているとともに、デカルトのコギトに始まり、サルトルの実存主義で終焉したように見える“人間中心主義的な知の体系”に対する異議申し立てであると思われます。
「“主体”の“主体性”は、その“主体”を生み出した不可視の構造によって無意識のレベルで規定されている」というのは構造主義者の主張ですが、私はこれから構造主義をすっ飛ばして、フーコーやドゥルーズらのいわゆる“ポスト構造主義”の思想に焦点を絞って読み進んでいこうと考えています。ここであらかじめ予見されることを言いますと、それは必ず批判的に読み解くことになるだろうということです。なぜなら、それがどれほど洗練されており、これまでにない刺激的な知をめぐる言説であったにせよ、彼らの主張が根本的には相対主義であり、相対主義は自己の言論に従うことによって自己矛盾に陥る、というのは合理的な帰結だからです。
このドゥルーズの対話集も刺激はありましたが、残念ながら、私をどこか予想もつかない場所へ連れて行ってしまうほどのインパクトはありませんでした。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 60

Trending Articles