村上春樹『木野』
「文藝春秋2月号」にまたまた村上春樹の新作が載っていました。私みたいに村上春樹読みたさに買ってる人、結構多いんでしょうね。「ドライブ・マイ・カー」「イエスタディ」ときたので、次もビートルズの曲かと思いきや、今度のタイトルは「木野」。人の名前です。...
View Article村上春樹『独立器官』
「文藝春秋3月号」もまた村上春樹です。「文藝春秋」の思惑通りに買わされている感があって、ちょっと抵抗したい気分にもなるんですが、でもやっぱり買ってしまいます。 今回は「独立器官」。なんだろう、これは?という感じで読んでいくと、昔読んだ短編集「回転木馬のデッドヒート」を思い出しました。これは、他人から聞いた話を書きました、という体裁を取った短編小説です。...
View Article小山田浩子『穴』
文藝春秋3月号は、芥川賞が150回を迎えるということで、記念大特集を組んでいました。実は今回の受賞者を含め、ここ10年ほどの芥川受賞者には、ある世代がひとかたまりで出てきた感があります。それは1983年84年生まれの女性たちです。...
View Article一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』
「日本陸軍の精神主義・歩兵主兵主義・白兵主義はついに最後まで堅持 された」 「物質的威力よりも精神的威力が重視されていた。精神的威力さえ優位にあれば、兵力の格差も、火砲や重機関銃など敵の物質的威力の優位もおそるるに足らず、とする精神主義があらゆるレベルにはびこっていた」 このような見方が日本陸軍に対する一般的な評価だと思います。 しかし、とこの著者は疑問を投げかけます。...
View Article村上春樹『おおきなかぶ、むずかしいアボカド~村上ラヂオ2』
ここのところ仕事が忙しく、気の抜ける日がありませんでした。気持ちが張ってると、どうしても思考が硬くなってしまい、なおいっそう難しいことを考えてしまいます。 今日は朝から家族が出かけて家に独りだったので、洗濯をしたり、ラーメン作って食べたり、昼寝をしたり、のんびり気ままに過ごしました。...
View Article夏目漱石『硝子戸の中』
先日図書館へ行ったとき、「大きな文字」の本のコーナーにこの本があって、「ああ、これは読みやすいなぁ」と思って読んでいたら、これが面白くて、自宅に文庫本があるにも関わらず他の本とともに借りてきました。 随分昔に読んだことがあるのですが、内容をすっかり忘れていて、どれも初めて読む感じでした。...
View Article木皿泉「昨夜のカレー、明日のパン」
たったいま、読み終えました。 今年の本屋大賞で第2位の作品です。 著者は「野ブタをプロデュース」や「Q10」の脚本家で、小説は今回が初めてだそうですが、とてもそうとは思えない手際のよい作品になっています。 書き手の成熟した視点が随所に感じられて、読むごとに唸らせられる場面があります。...
View Articleイルマル・ラーグ監督『クロワッサンで朝食を』
映画『クロワッサンで朝食を』予告編群ようこの小説、「作家ソノミの甘くない生活」で、ソノミの母親が歳を経るごとに嫌な部分が出てくる様子を描いていました。この映画もジャンヌ・モロー演じる富豪の老婆が、同郷のエストニア出身の新しい家政婦にこれでもかとわがままで意地の悪い部分をさらけ出します。...そのことが彼女を孤独にし、またその孤独感が彼女の中の嫌な部分を助長するという悪循環に陥ってしまうのです。そのわ...
View Article西村賢太『歪んだ忌日』
西村賢太の小説は、主人公に作者の分身、北町貫太を据え、毎回同じ語り口、同じ展開、同じ結末の作品なんですが、不思議なことに飽きるということはなく、新作が出ると気になって読んでみたくなるのです。 この本は6篇の作品が入った短編集なんですが、芥川賞受賞以降のことが書いてあって、以前の作品に比べると、貫太の生活に随分余裕が出てきたなあという感じがしました。......
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「文藝春秋2月号」にまたまた村上春樹の新作が載っていました。私みたいに村上春樹読みたさに買ってる人、結構多いんでしょうね。「ドライブ・マイ・カー」「イエスタディ」ときたので、次もビートルズの曲かと思いきや、今度のタイトルは「木野」。人の名前です。...
View Article村上春樹『独立器官』
「文藝春秋3月号」もまた村上春樹です。「文藝春秋」の思惑通りに買わされている感があって、ちょっと抵抗したい気分にもなるんですが、でもやっぱり買ってしまいます。 今回は「独立器官」。なんだろう、これは?という感じで読んでいくと、昔読んだ短編集「回転木馬のデッドヒート」を思い出しました。これは、他人から聞いた話を書きました、という体裁を取った短編小説です。...
View Article小山田浩子『穴』
文藝春秋3月号は、芥川賞が150回を迎えるということで、記念大特集を組んでいました。実は今回の受賞者を含め、ここ10年ほどの芥川受賞者には、ある世代がひとかたまりで出てきた感があります。それは1983年84年生まれの女性たちです。...
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「日本陸軍の精神主義・歩兵主兵主義・白兵主義はついに最後まで堅持 された」 「物質的威力よりも精神的威力が重視されていた。精神的威力さえ優位にあれば、兵力の格差も、火砲や重機関銃など敵の物質的威力の優位もおそるるに足らず、とする精神主義があらゆるレベルにはびこっていた」 このような見方が日本陸軍に対する一般的な評価だと思います。 しかし、とこの著者は疑問を投げかけます。...
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ここのところ仕事が忙しく、気の抜ける日がありませんでした。気持ちが張ってると、どうしても思考が硬くなってしまい、なおいっそう難しいことを考えてしまいます。 今日は朝から家族が出かけて家に独りだったので、洗濯をしたり、ラーメン作って食べたり、昼寝をしたり、のんびり気ままに過ごしました。...
View Article夏目漱石『硝子戸の中』
先日図書館へ行ったとき、「大きな文字」の本のコーナーにこの本があって、「ああ、これは読みやすいなぁ」と思って読んでいたら、これが面白くて、自宅に文庫本があるにも関わらず他の本とともに借りてきました。 随分昔に読んだことがあるのですが、内容をすっかり忘れていて、どれも初めて読む感じでした。...
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たったいま、読み終えました。 今年の本屋大賞で第2位の作品です。 著者は「野ブタをプロデュース」や「Q10」の脚本家で、小説は今回が初めてだそうですが、とてもそうとは思えない手際のよい作品になっています。 書き手の成熟した視点が随所に感じられて、読むごとに唸らせられる場面があります。...
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映画『クロワッサンで朝食を』予告編群ようこの小説、「作家ソノミの甘くない生活」で、ソノミの母親が歳を経るごとに嫌な部分が出てくる様子を描いていました。この映画もジャンヌ・モロー演じる富豪の老婆が、同郷のエストニア出身の新しい家政婦にこれでもかとわがままで意地の悪い部分をさらけ出します。...そのことが彼女を孤独にし、またその孤独感が彼女の中の嫌な部分を助長するという悪循環に陥ってしまうのです。そのわ...
View Article西村賢太『歪んだ忌日』
西村賢太の小説は、主人公に作者の分身、北町貫太を据え、毎回同じ語り口、同じ展開、同じ結末の作品なんですが、不思議なことに飽きるということはなく、新作が出ると気になって読んでみたくなるのです。 この本は6篇の作品が入った短編集なんですが、芥川賞受賞以降のことが書いてあって、以前の作品に比べると、貫太の生活に随分余裕が出てきたなあという感じがしました。......
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